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池浦 広美*; 関口 哲弘
Molecular Crystals and Liquid Crystals, 622(1), p.50 - 54, 2015/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Multidisciplinary)積層型有機電導性分子は分子エレクトロニクスへの応用として広く期待されている。もし有機半導体における伝導帯の電子構造の直接観測が行えれば、電導メカニズムの理解が飛躍的に進むと期待される。通常、伝導帯の状態密度の観測には、X線吸収分光(XAS)が用いられる。ここで内殻励起される元素の部分状態密度が観測される。しかしながら、XASでは空軌道の局在性・非局在性の情報を得ることはできない。本研究では、共鳴オージェ電子分光法(RAS)における正孔時計法を電子材料に応用する。非局在化軌道をもつ伝導帯をアト秒領域で高速移動する電子を観測する。本発表ではペンタセン誘導体材料に適用した例をあげ、電子伝導機構を議論する。
松浦 秀治*; 鏡原 聡*; 伊藤 祐司*; 大島 武; 伊藤 久義
Microelectronic Engineering, 83(1), p.17 - 19, 2006/01
被引用回数:3 パーセンタイル:24.42(Engineering, Electrical & Electronic)六方晶炭化ケイ素(4H-SiC)中のアルミニウム(Al)アクセプタ不純物の電気的な性質を明らかにするために、電子線照射した4H-SiCの正孔濃度を調べた。電子線照射はSiC中の炭素原子(C)のみをはじき出すことができる200keVと、シリコン(Si), C、及びAl全ての原子をはじき出す4.6MeVのエネルギーを用いて行った。その結果、200keV電子線照射では正孔濃度が減少し、それに対応するようにAlに関連する深い準位(活性化エネルギー:350meV)が増加した。このことより、200keV電子線照射によりAlアクセプタに隣接するC原子がはじき出されAl-Vのような複合欠陥が形成されることでAlアクセプタ濃度が減少する機構と、350eV付近の深い準位はAl-Vの複合欠陥に由来することが示唆された。一方、4.6MeV電子線照射では、正孔濃度は激減し、350meVの深い準位も若干の減少を示した。このことから、Si, C, Al原子を全てはじき出す高エネルギー電子線照射では、新たな欠陥が形成されて、正孔濃度が減少するとが考えられる。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 伊藤 久義
Journal of Applied Physics, 98(1), p.013530_1 - 013530_14, 2005/07
被引用回数:45 パーセンタイル:80.53(Physics, Applied)放射線環境で使用される高速光検出器に高エネルギーイオンが入射すると、信号に雑音が入り、情報伝達に支障が発生する。このようなシングルイベント現象は、高エネルギーイオンで誘起する高密度の電子・正孔対(プラズマ)の動的挙動と密接に関連する。本研究では、Si pinフォトダイオードにMeV級重イオンを照射し、発生する電子・正孔プラズマの動的挙動を調べ、その過渡応答特性を評価した。実験には複数のイオン種を使用し、その飛程が等しくなるようにエネルギーを調整して照射を行い、過渡応答特性のプラズマ密度依存性を解析した。その結果、過渡応答特性は次の3つのフェーズに分類できることを見いだした。すなわち(a)素子固有の周波数帯域でキャリアの移動が制限される領域,(b)キャリアがアンバイポーラ両極性拡散によって広がる領域,(c)キャリアが空乏層領域の電界によりドリフト運動する領域。
大井 暁彦; 大島 武; 吉川 正人; Lee, K. K.; 岩見 基弘*; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 389-393, p.831 - 834, 2002/05
Al注入(110/cm,室温)した六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)へ熱処理(Ar中、温度:1550から1750 C、時間: 3から30分間)を行い、表面状態と注入層の電気特性を調べた。原子間力顕微鏡(AFM)により表面観察を行った結果、熱処理により直線的な溝や溝に沿ったスパイク状の突起が形成されることがわかった。また、溝は高温・長時間熱処理ほど深くなることが明らかになった。面方位を考慮して解析を行った結果、溝の片面は(0001)面であると決定できた。一方、電気特性に関しては、高温・長時間熱処理ほど正孔濃度は増加するが、移動度は1750 Cで3分間程度の熱処理で飽和傾向を示し、それ以上の長時間熱処理条件では変化は見られなかった。この結果は、注入Al原子の電気的活性化には高温・長時間熱処理が有効であるが、結晶性の回復には高温・短時間熱処理で十分であることを示している。結晶性の低下や表面荒れがデバイス特性に悪影響を与えることを考えると、Al注入層の熱処理条件としては1750 C,3分間が適切であると判断できる。
大山 英典*; 平尾 敏雄; Simoen, E.*; Claeys, C.*; 小野田 忍*; 高見 保清*; 伊藤 久義
Physica B; Condensed Matter, 308-310, p.1226 - 1229, 2001/12
被引用回数:31 パーセンタイル:79.64(Physics, Condensed Matter)シリコン(Si)のPIN型フォトダイオードの高温線照射による劣化を評価した。試験試料はSiフォトダイオードで、抵抗率が2~4Kであり、厚さ0.3mmのカバーガラス窓をもつTO-18パッケージに収められている。線照射にはCo-60線源を使用し、照射量は最大1107rad(Si),照射中の試料温度は20,100,200とした。照射前後のデバイス特性とDLTS測定を行い、照射による特性劣化と導入欠陥との相互関係について検討した。照射後のDLTS測定の結果、n形シリコン基板に導入された2種類の電子捕獲準位(Ec-0.22eV)及び(Ec-0.40eV)と1種類の正孔捕獲準位(EV+0.37eV)が検出された。一方、デバイス特性については、線照射により暗電流は減少し、光電流は増加する傾向が得られた。これらの特性変化をDLTS測定で得られた欠陥準位に関連付けて議論する。
岸本 牧; 中村 龍也; 藤 健太郎; 坂佐井 馨; 片桐 政樹; 高橋 浩之*; 中澤 正治*
日本原子力学会誌, 43(2), p.168 - 181, 2001/02
被引用回数:1 パーセンタイル:11.99(Nuclear Science & Technology)イメージングプレート(IP)の輝尽性発光現象に関する理論モデルを構築するために、線を使ってIPの輝尽発光特性を実験的に調べた。その結果輝尽性強度は線照射線量に比例しておらず、それが線によって生じたIP中のF中心電子やEuによる捕獲正孔の一部が、後から生じた電子や正孔と再結合損失を起こすためであるらしいことを示した。次に励起レーザー照射に伴う輝尽蛍光体内での正孔数、伝導帯電指数、F中心電子数の時間変化に関する理論モデル式を構築した。最後にフェーディング特性に関する詳細な実験を行い、フェーディング現象が線照射による大量の不安定F(Br)中心生成とその数の揺らぎによって生じるらしいことがわかった。
大島 武; 伊藤 久義; 吉川 正人
第11回粒子線の先端的応用技術に関するシンポジウム(BEAMS 2000)報文集, p.139 - 142, 2000/11
アルミニウム(Al)/炭素(C)共注入によるp型伝導シリコカーバイド(SiC)半導体の最適作製条件を明らかにするため、注入濃度と温度を変化させてAlとC注入を行った。Alは室温~800で210,210及び110/cm、Cは室温または800で210~510/cmの範囲で注入した。ホール係数測定より注入層の正孔濃度を求めたところ、低濃度(210/cm以下)Al注入試料では、210~510/cmのC共注入を行うことでAl単独注入に比べ正孔濃度が上昇すること、C濃度が110/cm付近で正孔濃度が最大値を示すことがわかった。これより最適共注入C濃度として110/cmが決定できた。また、Cを800で共注入した試料は室温C共注入試料に比べ高い正孔濃度を示し、高温C共注入の有効性を明確にすることができた。一方、高濃度(110/cm)Al注入の場合は、C共注入によるホール濃度の変化は見られず、Al自体の高温注入により正孔濃度が高められることが確認できた。
大西 一功*; 高橋 芳浩*; 小松 茂*; 吉川 正人
JAERI-Research 95-090, 40 Pages, 1996/01
シリコン窒化膜中で放射線照射により発生する電子-正孔対の発生数を評価する目的で照射中の絶縁膜電流測定システムの構築を行い、その測定結果を検討した。大気中での線照射下での電流を測定した結果、観測電流の大部分は被測定素子近傍の大気の電離に起因することがわかり、照射雰囲気を減圧下にする必要のあることがわかった。真空中においてX線照射による誘起電流を測定した結果、シリコン窒化膜中での電荷発生量の評価が可能となり、その値はシリコン酸化膜中での発生量のほぼ20%であることがわかった。この結果を用いてシリコン酸化膜・窒化膜を絶縁膜としたMIS構造(MNOS構造)の絶縁膜中の電荷発生、捕獲に対するモデルを提案し、線照射によるミッドギャップ電圧の変化について評価し、照射中の電荷捕獲機構について検討を行った。
須藤 仁介*; 鈴木 康晴*; 高橋 芳浩*; 吉川 正人; 大西 一功*
平成5年度 (第37回)日本大学理工学部学術講演会講演論文集; 材料・物性, p.131 - 132, 1993/00
MNOS構造は照射により発生した電荷をSi-酸化膜界面より離れた位置で捕獲することにより、界面準位密度及び固定正電荷密度の増加抑制が期待される。しかし、その電荷捕獲機構の評価は不十分である。本研究は電荷捕獲機構の評価を目的とし、線照射前後におけるミッドギャップ電圧をトラップモデルを仮定することにより解析した。また、照射中のゲートバイアスは種々変化させて実験を行った。Si-酸化膜界面に正孔トラップが、酸化膜-窒化膜界面には正孔および電子トラップが局在すると仮定したモデルにより実験結果をよく説明できることがわかり、本モデルの有効性を確認した。結果より、照射中の印加電圧依存性は、照射により絶縁膜中で発生する電荷量の電界依存性、および発生電荷のドリフト方向により説明でき、また酸化膜-窒化膜界面に捕獲された電荷は酸化膜電界の緩和を引き起こすことがわかった。
荒井 康夫; 大道 敏彦; 福島 奨; 半田 宗男
Journal of Nuclear Materials, 150, p.233 - 237, 1987/00
被引用回数:6 パーセンタイル:55.64(Materials Science, Multidisciplinary)化学量論組成に近いウラニア、ガドリニア固溶体(U,Gd)Oの電気伝導度を室温から約1,000Kまで測定した。機械混合法により調製した試料はGdOを最大14mol%含み、O/(U+Gd)比は、ほぼ2,000に等しかった。電気伝導度の測定は直流四端子法を用いてアルゴンガス気流中で行った。ウラニアにガドリニアを添加することによりP型の電気伝導が促進されることがわかった。固溶体の電気伝導機構は、UとUの間で局在している正孔のホッピングに基づくものと解釈できた。さらに得られた実験結果は、断熱状態下でのスモールポーラロン理論に基づく記述とよく合致した。
中谷 秀夫*; 阪井 英次; 片桐 政樹
JAERI-M 8478, 133 Pages, 1979/10
我が国で始めてHgI検出器の、、X線パルスを観測した。市販のHgI特級試薬(純度99.2~99.8%)を真空封じしたパイレックス管を2温度領域の電気炉中で蒸気輸送させる簡単な方法で数mm角1mm厚程度の多数の結晶を作り、アカダックを塗布して電極を作りHgI検出器のAmからの線、・X線に対するパルス波高分布を測定した。最も良い検出器は59.5keV線に対してエネルギー分解能4.9keVを示したが、良いエネルギー分解能を示す検出器の製作は困難であった。正孔の電荷収集特性は電子のそれに比べて極めて悪いこと、透明度が良く壁開性の良い結晶が良い検出器特性を示すこと、市販のHgI特級試薬は蒸気輸送を行うと固化した灰色の残留物を残すこと、検出器へのHumiseal塗布は耐高電圧特性、長期安定性、エネルギー分解能を改善すること、HgI検出器の電子・正孔対当りの平均エネルギーはほぼ4.2eVであること、50C、25C、0Cと検出器の温度を下げるとエネルギー分解能が改善された。
池浦 広美*; 関口 哲弘
no journal, ,
X線吸収端に観測される複数のピーク群(X線吸収端近傍微細構造、NEXAFS)は物質の空軌道伝導バンドの部分状態密度に関する情報を含んでいる。本発表では放射光X線を用いることにより、電荷移動性を示すチオフェン誘導体分子の薄膜試料の硫黄K殻吸収端領域のNEXAFSスペクトルを測定した。X線共鳴吸収について分子軌道法に基づく電子遷移の帰属を試み、スペクトルと電導的性質との相関関係に関する考察を行った。